若木信吾監督が語るドキュメンタリー映画「トーテム Song for Home」

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若木信吾監督
若木信吾監督

 東京・青山のライブハウス「月見ル君想フ」で2月21日、台湾の原住民バンドTOTEM来日に合わせ、バンドを追ったドキュメンタリー映画『トーテムSong for home』が上映され、その後、若木信吾監督のトークショウが行われた。

 本映画はトーテムのメンバー5人(原住民出身)の生き様やルーツに興味を抱いた日本人監督、若木信吾が製作、2009年の10月に東京シネマート六本木で初上映され、以後、浜松、大阪、熊本、沖縄、ほか全国で劇場公開されている。

若木監督は、写真家/映画監督。静岡県浜松市出身。ニューヨーク州ロチェスター工科大学写真科卒業後、雑誌・広告・音楽媒体など、幅広い分野で活躍。第一回監督映画「星影のワルツ」は、2008年ロッテルダム国際映画祭タイガー賞やシカゴ国際映画祭新人賞にノミネートされた。 テーマは、「トーテム Song for home」に連なる「都会と故郷の距離感(地理的、精神的)」だった。

また、本映画のコーディネーターは、台湾ではブログ、テレビ、出版、講演など、知名度抜群のクリエイター、青木由香さんが務めた。

 台湾には「原住民族」と呼ばれる少数民族が政府に認定されているだけでも14民族いる。トーテムの5人のメンバーは、ボーカル・ギターを担当するスミンはアミ族(台東)。ボーカルのチャーマーカーはパイワン族(台東)、ギター、作曲・編曲でリーダーのアシンはパイワン族(台東)、ドラムのアシャンはペナン族(台東)、ベースのアウェイは漢族(台中)。

 映画の内容は、「故郷を想いつつ、生活のために故郷を離れ都会に出て働く原住民の若者の日常」。5人のメンバーは、少数民族原住民としてのアイデンティティーを模索しながら、失われつつある部族の言葉と民謡の旋律を使って曲を作り台北を中心にライブ活動を行っている様子が描かれる。スミンが歌う原住民ならではの美しい曲が強烈な印象を与えた。

 映画上映後、トークショウで若木監督は、映画にしなければいけないのかどうか迷ったこと、編集が終るまでタイトルが決まらなかったこと、トーテムのメンバーが日々、故郷や家など自分と同様のモチーフを持っていることが分かったこと、歌を翻訳してもらったところ故郷について歌っていたことが分かったこと、などを熱く語った。

サプライズで登壇するトーテム
サプライズで登壇するトーテム

 トークショウが終わり、午後10時頃、聞き手のフジモトマミさんの合図で、ステージにトーテムの5人のメンバーが登場。このサプライズに観客は歓声で応えた。

映画のポスターにサインをするメンバー
映画のポスターにサインをするメンバー
左からアウェイ、スミン、アシャン、チャーマーカー、アシン
左からアウェイ、スミン、アシャン、チャーマーカー、アシン

 メンバーは若木監督と握手を交わし、気軽にフジモトマミさんの質問に応えていた。その後、ポスターにサインをしたり、台湾原住民特産の酒、台湾屋台料理がふるまわれるなか、ファンとの交流に気軽に応じていた。