「台湾海峡1949」が紀伊国屋じんぶん大賞2012を受賞

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~60年前の老兵が見た戦争~
昨年日本で出版された龍應台文化部長(文化相・女性)の著書「台湾海峡1949(原題:大江大海1949)」がこのほど紀伊国屋書店が行った「紀伊国屋じんぶん大賞2012」のトップ30の25位に選ばれた。今年が3回目の同賞は、当該年に出版された、哲学、思想、心理、宗教、歴史、社会などの分野に属する人文書を対象に読者からの投票後、さらに同書店の選考委員により30冊を選定したもの。いずれも人文的な深さと読者からの好評を兼ね備え、選出された良書である。
台湾海峡1949は、2012年度受賞の書籍の中で唯一の華人作家による著作物で、このほか、受賞書籍の大半の25冊が日本人作家の著書だった。
龍氏の原作である「大江大海1949」は、昨年初めて日本語に翻訳され、日文名「台湾海峡1949」として出版された。出版後は朝日新聞、日本経済新聞、産経新聞など日本の主要メディアがこぞって書評で賞賛した。同書は60年前の戦争経験がある老兵の語りを中心に書かれており、今までの歴史観とは違った、兵士の目線から書かれたノンフィクション。同書を読むと、今までの国家目線とはまた角度が違う内容で新たな歴史認識が得られるとしている。
1927年創業の老舗書店・紀伊国屋書店では、創業以来、著者の国籍を問わず優れた書籍をアピールし、読者と魅力ある書店の空間を共有することを目指している。今回、龍氏初の翻訳書籍が日本の書籍市場で注目されたことは極めて貴重なことといえる。龍氏は1980年代から活躍している女性作家。ドイツに長期滞在後、台湾に帰国。昨年5月に発足した2期目の馬英九政権で初代文化部長にも就任している。