李登輝元総統が5年振り6度目の来日、「日台は運命共同体だ」

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李登輝氏,5年ぶり6度目の来日を果たす
李登輝氏,5年ぶり6度目の来日を果たす

 

台湾の元総統である李登輝氏(91)が9月19日から1週間の期間で、5年振り6度目の来日を果たした。これは日本李登輝友の会の誘致によるもので、今回は曾文恵夫人、そして初めて長女の李安娜さんと次女の李安妮さんを連れての家族同伴来日となった。

東京公演会にて。曾文恵夫人と李登輝氏
東京公演会にて。曾文恵夫人と李登輝氏

今回の来日の大きな目的は3つ。最先端の癌治療法、代替エネルギー、肉牛飼育の現状を視察することだ。大阪で行われた最新のがん治療法「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)に関する会議に出席したほか、東京・大阪での講演、日華親善懇談会の江口克彦氏、平沼赳夫氏らとの面会、川崎の浮島太陽光発電所「かわさきエコ暮らし未来館」にて太陽光発電の視察、そして北海道にて和牛飼育現場の視察などを行った。

来日直後に大阪で行われた記者会見では、スコットランドの独立問題や日台に於ける台湾関係法について「スコットランド独立問題に対しては台湾側としても学ぶことが多い」とし、「この機会はおそらくスコットランドとイギリスの関係をさらに密接にさせるだろう。スコットランドの失業率が高い問題も、イギリスはさらに協力的になるのではないだろうか」と述べた。また、台湾関係法については「東南アジアの国は日本の協力を強く望んでいる。日台は心と心の連帯関係だ。しかし外交関係がないという特殊な関係なため、日本に台湾関係法をつくるべき。しかし日本は“中国が重要”か“台湾が重要”かを判断する必要がある。これは日本人にとっては非常に難しい問題だ」とした。

安倍晋三総理との面会が期待された李登輝氏だが、面会は行われなかった。「APECを間近に控えた中国と日本の関係を気遣ったのではないだろうか」と、日本李登輝友の会・柚原正敬事務局長は話している。

体調が心配されながらも全てのスケジュールをこなした李登輝氏は25日、離日を前に札幌市で同行記者団と会見し「年はとったが、必要があれば何度でも来ますよ」と再来日への意欲を語り、帰国した。

 

 

 

 

李登輝氏、日本に真の自立を促す

講演にて日本に真の自立を促した李登輝氏
講演にて日本に真の自立を促した李登輝氏

李登輝氏は滞在中の20日・21日と2日間にわたり講演を行った。大手町サンケイプラザで行われた東京講演会では「日本が真の自立をする為には憲法の改正が必要不可欠」、「自分の国は自分で守るべき。戦力保持は必要」とし、集団的自衛権について言及した。91歳とは思えぬしっかりとした口調で約1時間にわたり聴衆に語りかけた。

「憲法改正がいま日本の1番の課題」と指摘する李登輝氏は、安倍晋三総理が集団的自衛権の行使を認めたことについて「これは戦後長らく続いた日本の不正異常な状態を正し、再生していくための第1歩だ。行使容認を決断した安倍総理には心より敬意を示したい」と話した。さらに「現代の日本国憲法は元々英語で書かれ日本語に書き換えられた憲法だ。つまりアメリカが日本に二度と歯向かわないように創られたものである。特に第9条では日本が軍事力を持つ事を禁じており、アメリカに依存するほかなかった。だがアメリカが衰退している今、リーダーが不在の世界に於いて日本は岐路に立たされている。軍事力保持はすなわち、戦争という事ではないのだ。自分の国を守る為の手段である」と述べ、日本人に真の自立を促した。

また、日台関係については「日本と台湾は運命共同体だ。日本が良くなれば台湾も良くなる。その反対もそうだ。また、日本の自立はアジア全体の平和にも繋がるだろう。真の国家として日本が歩む事を心より期待している」とし、講演を締めくくった。

講演後は拍手が鳴り止まないなか曾文恵夫人も壇上にあがり、衆議院の長島昭久議員から花束が贈呈された。長島議員は「日本は自立していかなければならない、と李登輝氏に激励して頂き、私も政治家の一人として重く心に受け止めた。これから台湾関係法含め国会でしっかり日本の国民の皆様の理解を得られるように努力していきたいと思う」と述べた。また来賓として訪れていた拓殖大学の渡辺利夫総長は「李登輝氏の意見に賛成だ。日本が日本を守ろうとしないのに、アメリカが日本を守ってくれるわけがない。これは当たり前のこと。日本が自国を自分たちで守り自立していなければならない」と話した。

講演会を通して多くの日本人を激励し感動を与えた李登輝氏について22日、李登輝氏の太陽光視察に同行した参議院・江口克彦議員は「李登輝氏は世界でも卓越した政治家であり、台湾の誇りだろう。台湾が発展していくためには“李登輝精神”に戻らなければならない。台湾は中国の属国ではなく台湾という国家だ。先日台湾で“ひまわり学運”があったが、あれは李登輝精神に基づいた行動だと思う。私も、必ずや若い人たちが李登輝精神を出発点にし、日台の関係をより良いものにしていくと期待している」と述べた。

参議院・江口克彦議員(左1)と李登輝氏(右1)
参議院・江口克彦議員(左1)と李登輝氏(右1)

 

 

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