台湾人が日本語で歌い、伝える日本への思い

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2012年に発足した台湾の声楽家協会「日本芸術歌曲研究会」は2月5日、座・高円寺2にて「東日本大震災復興支援チャリティーコンサート 春風を望んで~台湾日本芸術歌曲研究会の夕べ~」を開催した。

台湾歌壇の、東日本大震災に向けた和歌も詠まれた
台湾歌壇が東日本大震災に向けて詠んだ和歌の朗読

同コンサートでは、メンバーによる日本語歌曲や中国語、台湾語歌曲の披露のほか、台湾の日本統治時代に日本語教育を受けた人達を中心に今でも日本語で和歌を詠み続けている「台湾歌壇」が東日本大震災復興に向けて詠んだ和歌を朗読家の原きよさんが朗読し、東日本被災地の更なる復興を祈願した。

の皆さん
日本歌曲を暗譜で歌う日本芸術歌曲研究会の皆さん

また、受付では「福島こどもプロジェクト」への寄付金が募られ45156円の寄付金が集まった。同プロジェクトは、放射線の影響で長い間、屋外活動を制限されてきた福島のこどもたちを安全な国立公園などに招待し、キャンプ、野外活動、スポーツなど多様な経験を支援している。

受付に設置された「福島こどもプロジェクト」への寄付金募金箱
受付に設置された「福島こどもプロジェクト」への寄付金募金箱

日本芸術歌曲研究会の辛永秀代表の娘である鍋島亜朱華さんは「今日は、日本語から豊かな気持ちを頂けたことへの恩返しの気持ちでやって来た。せっかく恩返しという形にするならば、福島の子供たちへ支援できればと思い寄附金を募ることにした」と話していた。
日本芸術歌曲研究会は“日本語が出来ないけれど日本語が大好き!是非日本語で歌って日本にもっと近づいてみたい”というメンバーが集まり成立し、仕事などの合間を縫って月に1度練習をしている。辛永秀代表は日本語で歌うことの魅力について「心で歌うということが日本歌曲の魅力です。派手に歌うのではなく心で歌えば通じ合えると思う」と語った。

左から朗読家の原きよさん、日本芸術歌曲研究会の辛永秀代表、辛代表の娘の鍋島亜朱華さん
左から朗読家の原きよさん、日本芸術歌曲研究会の辛永秀代表、辛代表の娘の鍋島亜朱華さん

なお、同コンサートは日本歌曲と童話の部と台湾語歌曲と中国語歌曲の部の2部構成となっており、日本歌曲としては四季をテーマにしたメドレーや「赤とんぼ」、「夕焼け小焼け」などの懐かしいメロディーを合唱し、台湾語及び中国語楽曲では「夜來香」や「月亮代表我的心」などの台湾を代表する歌曲を披露した。

こころのこもった日本歌曲が会場に響き渡った
こころのこもった日本歌曲が会場に響き渡った

観客として訪れていた東京混声合唱団のアルトパートマスターの志村美土里さんは「まさか全て暗譜で歌われるとは思わなかった。アレンジも凝ったものでとても興味深かった。日本人なら浅く発音する“う”などの音が、彼女たちは深く発音していたが、声楽的には逆にとても美しいと感じた」と述べ、日本芸術歌曲研究会の歌声を絶賛していた。

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