よみうりカルチャー講師の陳麗惠先生は5月10日、「現地で役立つ台湾語」講座をよみうりカルチャーの川崎センターで開催した。同講座は台湾文化部(台北文化センター)と読売・日本テレビ文化センター(よみうりカルチャー)が共催する「台湾文化光点計画」の中の一環で無料にて行われた。普段触れることの少ない台湾語が学べるとあって、予約も早い段階で満席となっていた。
受講者らは、「単純に台湾が好きだから」、「台湾ドラマに出てくる台湾語を理解するため」、そして「台湾に旅行に行く前に少しでも現地の言葉を覚えたい」など、様々な理由からの参加だった。陳先生は、初めて台湾語に触れる受講者らに対し、台湾語の歴史や基礎知識から丁寧に講義。台湾のプチ情報や台湾旅行の際に役立ちそうな台湾語のフレーズや単語も教授した。
元々、陳先生は第2・4木曜日によみうりカルチャーセンターの荻窪センターと錦糸町センターにて台湾語の定期講座も開講している。このほどの講座で陳先生は「定期講座の受講者が台湾でタクシーに乗ったとき、中国語で行き先を伝えていても聞き取ってもらえず、思い切って習った台湾語で伝えるとすぐに理解してくれたと言っていた。台湾語は巻き舌の発音がないので日本人には発音しやすい言葉ですよ」と定期講座受講者の体験エピソードを披露し、受講者らに台湾語を覚える魅力を伝えた。
同エピソードからも分かる通り、台湾では国語とされる中国語(北京語)の他に、台湾語、客家語など多言語が使用される。中国語と台湾語は似て非なるもの。例えばこんにちはを意味する中国語の「ニーハオ」は、台湾語では「リーホー」だ。現在、首都の台北では中国語が主に話されているが、台北を一歩出れば台湾人同士の会話はほぼ台湾語。中国語が国語とされる現在でも台湾語を話す人が多いことについて陳先生は、「台湾語は台湾人のアイデンティティ台湾人にとって、思っていること一番表現出来るのは台湾語。台湾語こそ国語と呼ぶべきです」と話す。その一方で、最近では若者が台北で勤労し、地方離れが進んでいることも起因し、台湾語を話せない若者も増えてきているという。また、「中国語しか話せない孫と、台湾語を話すおじいさん、おばあさんの間で会話が通じないというケースも顕著だ」と指摘。陳先生は「台湾語はトキのようなもの。絶滅危惧言語になりつつある。私はこれからも台湾語を教え、守り抜きたい」と語った。また、台湾でも話せる人が少なくなっている台湾語をなぜ日本で教えるかについて、「台湾語を知らなければ本当の意味で台湾を理解することは出来ません」としたほか、「日本人には台湾旅行に行った時、台湾語で台湾人に話しかけてほしい。それにより台湾人が『台湾語』の魅力を再発見してくれるかもしれないから」と希望も示唆していた。
このほど同講座を受講した女性からは「語学はその国の背景までわからないと本当の意味での習得はできないと思います。今回陳先生は台湾語のみならず、台湾の生活習慣や台湾人の感性などについても説明して下さったので、台湾に一歩近づけた気がしました。引き続き勉強し、将来、台湾現地に行って使ってみたい」とコメント。陳先生の想いが受講者にしっかりと伝わっている事が伺い知れた講座だった。