李登輝元総統、国会議員約300人を前に議員会館で初講演

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日本の国会議員約300人を前に講演した台湾の李登輝元総統
日本の国会議員約300人を前に講演した台湾の李登輝元総統

台湾総統退任後、7回目となる訪日を果たした李登輝元総統は7月22日、衆議院第1議員会館多目的ホールにて「台湾パラダイムの変遷」と題した講演を行った。国会施設内で台湾の政治家が講演を行うのはこれが初めて。文部科学省の下村博文大臣をはじめとした300人近くの議員が会場に集結した。下村大臣は発起人を代表し「これだけの国会議員が集まるということは初めてのことだ」と述べ、李登輝元総統を歓迎した。同講演発起人は下村大臣のほか、自民党の鳩山邦夫議員、麻生太郎議員、民主党の前原誠司議員ら計40人だった。

李登輝元総統の講演を聞くため、多くの議員が集まった
李登輝元総統の講演を聞くため、多くの議員が集まった

李登輝元総統は講演で台湾の民主化に言及。総統在任中に行った第一次民主改革については「独裁体制を崩壊させ、民主社会を打ち立てたという点では成功をおさめたと言える」と成果を述べ、一方で、「ここ数年来、台湾の政党間には理性を失った無意味な対立が起こり、指導者は地に足が着いていない無責任な政治家になってしまった。第一次民主改革の成果はもはや限界に達しており、超えることのできない障害にぶつかっていると言える」と問題を提起。今の台湾には「第二次民主改革」が必要とされていると強調した。

「私は現在、92歳、長く見積もっても、台湾のために働けるのはあと5年くらいだろう。残りの人生は、台湾により一層成熟した民主社会を打ち立てるために、捧げたいと思う。日本の国会議員の先生方には、台湾への関心を引き続き寄せていただきたいと願っている」(李登輝元総統)

また、李登輝元総統は同講演内で、中国が主張し続けている「ひとつの中国」、「台湾は中国の一部分」に対し、「我々は決して同意出来ない」としたうえで、両岸関係を「特殊な国と国との関係」だと主張した。

同講演発起人の自民党・岸信夫議員、秋元司議員によると、李登輝元総統は同講演後の質疑応答で、安倍晋三政権が進める安全保障法制について「日本が主体的に安全保障に意識を持つことが、アジア全体の平和につながっていく」と評価したという。

発起人の自民党・岸信夫議員(右)と秋元司議員(左)
発起人の自民党・岸信夫議員(右)と秋元司議員(左)

同講演会は、5月に岸議員らが訪台した際、直接李登輝元総統に依頼し、快諾を得て開催するに至った。李登輝元総統は21日、台北の空港で、台湾の記者団に同講演会に中国が反発する可能性を問われ、「私は客人で、私を招いたのは日本の国会議員だ。中国が反対するなら、皆に笑われるだけだ」と述べていた。これをうけ、同講演会後に台湾の記者が岸議員に対し、「今回、同講演会の発起人である岸議員のもとに中国からの圧力があったか」と質問。岸議員は「そのようなことは特になかった」と答えた。

李登輝元総統は26日までの滞在中、日本外国特派員協会でも講演と記者会見を行うほか、24日からは福島県郡山市と宮城県松島町を訪問。26日には同県岩沼市の「千年希望の丘」で東日本大震災の慰霊碑に献花する予定だ。

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