アジアアート界の市場拡大における台北の尽力

0

 

台湾画廊協会の王瑞棋理事長は5月12日、東京国際フォーラムで開催されているアートフェア東京2016内で開催されたAPAGA (ASIA PACIFIC ART GALLERY ALLIANCE)シンポジウム「アジアにおけるアートマーケットの拡充と発信」に登壇し、APAGAの概要や台湾アート界の位置付け及び現状などについて来場者へ力説した。

台湾画廊協会の王瑞棋理事長
台湾画廊協会の王瑞棋理事長

APAGAとは、アジア・パシフィック8都市(台北、日本、韓国、香港、北京、シンガポール、インドネシア、オーストラリア)の画廊協会が手を組み、世界へ向けて市場拡大することを目的に発足した組織。王氏はAPAGAの初代チェアマンを務めている。

王氏はAPAGAの設立について、「約2年間の討議の結果、昨年末に香港で立ち上がった。これは今までにない歴史上初めての事であり、大きなチャンスでもある。我々は競争ではなく協力して努力し、市場拡大を目指す」と述べた。

また、具体的な活動予定としては、今年の11月に開催されるアート台北2016において、APAGA加盟都市全ての支援と協力が得られていることを発表し、「アート台北においては台北の他7都市からの参加が決まっている。台北側はすでに、アート台北に訪れる画廊や専門家たちに対し、各都市の芸術についての重要な情報を、事前・事後に知ることが出来る様な完全な計画を準備している」とした。

また、日本に関しては、「アート台北は、日本の画廊からの出展依頼は断らない。日本のアート作品が台湾で人気がありよく売れる。また、日台は長年協力してきたので、共通の認識を持っているし、台湾のコレクターも日本のものを所蔵したいと希望する人が多いのだ」とした上で「日台の協力だけをみても、アジアのアートビジネスに多大な成果を出している」と述べ、日本との密接な関係性を強調した。一方で、「日本が台湾のアート作品を購入するケースはまだまだ少ない。今後、より深く交流していければ」と期待も示した。

日本との関係性を強調した王氏
日本との関係性を強調した王氏

さらに、台北における日本以外の都市との協力としては、インドネシアとの芸術家の相互紹介や相手国での展示会開催などの話合いが進められているほか、台湾から10以上の画廊を組織し、韓国のKIAF(韓国国際アートフェア)へ出展するなど、具体的な活動が着実に行われているとしており、台北がAPAGAにおいて重要な役割を果たしていることが見て取れた。

王氏と共に登壇した全国美術商連合会の常務理事・椿原弘也氏は台湾におけるアートについて、「台北のアートはインパクトがあり、パワフルだ。台湾の人口は日本に比べて少ないが、台湾のマーケットは非常に熱心で、大きくなっている。中でも若いコレクターが育っており、台湾の画廊協会の努力の賜物だと思っている」と評価した。

右から王瑞棋(Rick Wang)/台湾画廊協会 理事長、パク・ウホン(Woo Hong Park)/韓国画廊協会 理事長、ベンジャミン・ハンペ(Benjamin Hampe)/シンガポール画廊協会 代表、エドウィン・ラハルジョ(Edwin Rahardjo)/インドネシアジャカルタ画廊協会理事長、アナ・パパス(Anna Pappas)/オーストラリア画廊協会理事長、椿原弘也/全国美術商連合会 常務理事
右から王瑞棋/台湾画廊協会 理事長、パク・ウホン/韓国画廊協会 理事長、ベンジャミン・ハンペ/シンガポール画廊協会 代表、エドウィン・ラハルジョ/インドネシアジャカルタ画廊協会理事長、アナ・パパス/オーストラリア画廊協会理事長、椿原弘也/全国美術商連合会 常務理事

 

アートフェア東京に台湾から2画廊参加

古美術、工芸から近代美術、現代アートに至る幅広いジャンルや時代の作品を一堂に会するアートフェア東京には、台湾のギャラリーからはRich Art(台中)とMing Dian Gallery(台北)が出展した。どちらも今回が初めての東京における展示だった。なかでも会場内で最大の広さで展開したRich Artでは、「自由」というメッセージをテーマに20年前からオブジェを制作している蔡尉成氏の作品8点が展示され、会場を訪れた来場者の目を惹きつけた。

アーティストの蔡尉成氏
アーティストの蔡尉成氏

Rich Artの執行総監の蔡伊豐は、「今回は1回目の参加だ。我々はまだ日本市場を理解していないので、今回をきっかけに日本との交流を深めていきたいと思う」と述べた。

会場内で最大の広さで展開したRich Art
会場内で最大の広さで展開したRich Artは今後の日本との交流に期待を示した

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here