大英産業の大園英彦会長に台湾からの感謝状

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台湾の厚生大臣にあたる衛生福利部・蔣丙煌部長からの感謝状が7月4日、大英産業株式会社(北九州市)の大園英彦会長に贈られた。

これは、今年2月に発生した台南地震において大園会長が私財1,000万円を被災者支援義援金として贈ったことに対するもので、台北駐福岡経済文化辦事處の 戎 義俊處長(総領事)から手渡された。

感謝状と授与式01
大英産業株式会社での感謝状の贈呈式(左・戎総領事、右・大園会長)

台南地震の報に接して大園会長が義援金を贈ることを決めた理由は、自身は佐賀県に生まれ、少年飛行予科練習生を経て終戦復員し、父親と妹がまだ中国にいて安否に心を痛めていた時に、「日本人を飢えて帰すな」という中華民国・蒋介石総統の配慮によって無事に帰国を果たすことができたこと。また、その後も同総統の対日賠償金請求権の放棄やソ連の打ち出した日本分割案に反対するなど「以徳報怨(うらみに徳をもって報いる)」の心が日本を早く立ち直らせたこととアジアでは、一番親日であったことに感謝の気持ちを持っていたことによる。それ以来、台湾への親近感を持ち続け、戦後の混乱期を経て事業に成功した後は、何度も台湾への社員旅行を重ねてきたという。

 戎総領事は、大園会長から贈呈された義援金が台湾政府を通して被災者支援に役立ったこと。また、その気持は十分台湾の人に伝わったことを述べて、深い感謝の意を表した。更に義援金贈呈時に託された真多呂人形(妹:松浦真鳩乃さん製作)が、大園会長の希望通り5月に就任した蔡英文総統の手許に届いたことを報告した。

それに対して、大園会長は「義援金のその後の状況を説明し、感謝状を贈るなど、これだけ丁寧な対応をするところは初めてだ。いろいろな地域貢献活動や寄付をしても、このような形で感謝の意を表してくれるところは殆どない。このような心を忘れかけている日本人は反省しなければならない。また熊本地震に対して台湾の国、自治体、民間から受けた心遣いや支援には深く感謝する」と述べた。

これを受けて戎総領事は、「台湾は日本から多くのことを学び、恩恵を受けた。そのうちの一つが『日本精神(武士道)』という固有名詞にもなっている教育であり、『以徳報怨』もここから出たものと思う。」

「二つ目は都市開発、道路、鉄道、ダム、製糖会社など日本統治時代に多くのインフラを残してもらえたことだ。中でも烏山頭ダムと嘉南用水路を建設した八田與一技師は、台湾最大の穀倉地帯の生みの親として中学校の歴史教科書にも掲載されていて、彼の命日である5月8日には台湾全土から多くの人が参列して追悼式が行われるほどだ。2011年の命日には、八田與一紀念公園がオープンし、当時の馬英九総統も出席した。ここから学び取るものは単なるモノではなく、それを生み出す心である。」

「台湾と日本との関係の底流にはこの2つのことがあるのだということを、両国の若い人にはぜひ知ってもらいたい」と述べた。

大園会長も「台湾と日本は地震や台風などの自然災害環境が共通しているということだけではなく、価値観を共有し、肩肘張らずに語り合える間柄だということを認識して今後も助け合い、協力していきたい」と述べるなど、お互いの感謝と尊敬を交歓する中で内容の濃い贈呈式を終えた。

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談笑する戎総領事(左奥)、大園会長(右手前)と夫々の関係者