翁啓恵氏が、2012年日経アジア賞を受章

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受章した翁啓恵氏

~癌予防のワクチン・糖鎖の研究で大きな成果を残す~
 アジアの発展に貢献した人や団体を表彰する日本経済新聞主催の「日経アジア賞」の表彰式が5月23日、帝国ホテルで行われた。今年は科学技術部門で台湾の中央研究院院長である翁啓恵氏(63)が、経済発展部門で中国の環境保護活動家・楊勇氏(52)、文化部門でスリランカの絵本作家シビル・ウェッタシンハ氏(83)がそれぞれ表彰された。台湾人の受賞は昨年の呉茂昆氏(台湾・中央研究院物理研究所所長)に続いて2年連続となった。
 翁氏はオリゴ糖などの糖鎖研究の第一人者であり、国立台湾大学を卒業後、米・マサチューセッツ工科大学に留学、台湾に帰国後台湾最高の研究機関である中央研究所の主任研究員となり、ノーベル化学賞受賞者の李遠哲氏(台湾人)の下で、糖鎖の研究に没頭した。今までに発表した論文は500近い。1991年より2年間、日本でも研究経験があり、オリゴ糖の交差的合成、化学合成による癌ワクチン開発分野で大きな成果を残した。受章のスピーチで翁氏は、長年共に研究をしてきた同僚と研究の支援団体への感謝を話し、また人類の疾病である乳癌をはじめとした腫瘍、感染症、免疫力低下に役立つワクチンを開発したことによる業績を認められて大変栄誉に思うと述べた。なお、現在ワクチン開発は最終試験段階にある。
 表彰式は主催者である日経新聞社社長の挨拶に始まり、審査委員長の日本経団連名誉会長の豊田章一郎氏(トヨタ自動車名誉会長)の講評、各部門座長からの審査結果報告、表彰状授与、受賞者スピーチと進み、 閉会。レセプションへと進んだ。