台湾と日本、それぞれの国の伝統的な絵画表現の独自性に焦点を当てた展覧会「台湾・日本 現代絵画の未来と可能性」が10月15日より同25日まで、東京藝術大学大学美術館 陳列館1階、2階で開催中だ。
新たな絵画表現を試み活動している台湾人若手作家と日本人若手作家、計13人の個性豊かな日本画・油画・水墨画の作品が発表されている。台湾側として同展覧会に参加したのは、李逸琦さん、顏妤庭さん、范揚宗さん、黃沛涵さん、侯忠穎さん、劉韋岑さん、林瑩真さんの7人。
同展覧会は東京藝術大学と台湾文化部が新たな芸術文化交流事業として2013年に発足した「台湾・日本芸術文化交流事業 台湾文化光点計画」の中で行われるもので、日台の若い芸術家たちの交流を通じ、新しい芸術表現の可能性を探り、次世代の芸術家を育成する事と文化交流の促進及び台湾文化に対する認識向上を目的としており、今年で4回目のコラボレーションとなっている。
同展覧会の開催を記念し、10月17日には東京藝術大学内でシンポジウム及びレセプションが開催された。レセプションには、台湾文化部の楊子葆政務次長、東京藝術大学の澤和樹学長、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表、台湾文化センターの朱文清センター長のほか、同展覧会に作品を出展した台湾と日本の若手作家及び東京藝術大学の教授や学生らが参加し交流した。
澤学長は「同企画は今年で4回目を迎えた。毎回異なる切り口で行っているが、この積み重ねにより新たな文化交流が生み出されてきた」と今までの成果を述べたうえで、「民族文化と豊かな精神世界を特色とする台湾で活躍するアーティストの作品を紹介し、日本の文化や伝統を元に個性豊かな表現を確立している日本人アーティストと対比させ交流する事で、アジア藝術の大きな礎となり、日台の藝術文化が世界に広く発信される事に期待している」と述べた。
一方の楊政務次長は、東京藝術大学との同企画が10年、40年と続いていく事に期待の意を示したほか、来年からの協力関係として、文化資産や芸術作品の修復などでも連携していきたいとした。さらに謝代表も挨拶し、日台間の文化交流の重要さを語った。
同展覧会に作品を展示した千村曜子さんは、「台湾と日本の作家達の作品を見比べてみて、両国の表現の違いよりも、共通点を感じる展示となりました。日本と台湾はお互いに島国であり、その島国独特の緻密さがあるように思います。機会があれば、次回は台湾の展覧会にも出展してみたい」と話す。
同じく作品展示をした台湾人アーティストの林瑩真さんは「日本と台湾の作品は同じく東方のスタイルですが、表現方法が少し異なっており、今回の展示では、ここの違いを見ることが出来ます。私としても今回に留まらず、日本はもちろん、日本以外の国でも作品を発表していきたいです」と、両者共に未来への期待を語ってくれた。