日台の青少年交流に力を入れる熊本電鉄台湾事務所

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熊本大地震直後の去年6月に台湾南部の高雄市に事務所を開設した熊本電気鉄道(中島敬髙社長)が日台の青少年交流に力を入れている。3月16日に現地を訪ね甲斐雅貴所長に話を聞いた。

熊本電鉄台湾事務所長 甲斐雅貴氏

本紙:去年の事務所開設は熊本大地震の2ヶ月後ということもあり「もう少し時期を見てはどうか」という声もあったようですが?

甲斐:もともと台湾進出は2016年4月の予定でした。地震で本社はもとより鉄道設備の破損や旅行のキャンセルなど、会社としてかなりの被害を受けたこともあり、いろいろな議論がありましたが「こんな時期だからこそやろう」という中島社長の決断と社員の結束力があり、2ヶ月遅れで実現できました。私は本震があった4月16日の4日後に高雄に来ましたが、多分震災後初めて来た熊本人だったと思います。

本紙:事務所開設に対する台湾側の期待や支援も大きかったのでは?

甲斐:はい。高雄市にはかなり前から事務所開設に期待を寄せて頂きました。また6月3日に中華航空(チャイナエアライン)が熊本~高雄線の定期便を再開し、その後すぐに陳菊高雄市長、頼清徳台南市長をはじめとする大勢の方々が熊本応援に駆け付けてくれましたが、これも我々の背中を押してくれました。

本紙:事務所開設後まだ一年も経っていないので、少し気が早いかも知れませんが、現在のところどんな成果が上がっているでしょうか?

甲斐:本業の鉄道をPRできていることが嬉しいですね。大勢の方が「くまモン」のラッピング電車に興味を持ち、2月には4000人を超える台湾からの観光客が電車に乗ってくれました。今年度中(3月末まで)に2万人になる見込みです。

台湾でも人気の「くまモン」のラッピング電車 -熊本電鉄提供-

本紙:事務所としていま一番力を入れていることは何でしょうか?

甲斐:青少年交流です。日台両国は、経済、文化、スポーツなど、様々な分野で密接につながっており、良い国民感情を持ち合っていますが、これをさらに前進させるのは子供を含めた若い世代の交流だと思います。熊本県・大津町(家入 勲町長)は台湾との青少年交流に熱心で、大津高校は2012年から台湾に修学旅行に来ています。また同じ大津町にある翔陽高校も2018年には台湾に修学旅行に来ることが決まりました。さらに町内の2つの小学校が高雄、台南の学校と姉妹校になるほど積極的です。今月28日には、大津町が台湾で活動するにあたって熊本電鉄がサポートする主旨の大津町と熊本電鉄の包括連携協定の締結を県庁で発表する予定です。

本紙:青少年交流については台北駐福岡経済文化辦事處の戎義俊處長(総領事)も熱心に推進しておられますね。

甲斐:高雄市の陳菊市長や日本台湾交流協会高雄事務所の中郡錦藏所長も熱心に応援してくれています。大変有り難く、感謝しています。

本紙:台北でなく、敢えて高雄に事務所を開設したことの効果とこれからの期待は?

甲斐:第一に熊本~高雄線の定期便が就航したことがあります。台北は日本でいえば東京です。事務所の運営費用も高いでしょうし、本音と建て前ということでは建て前が表に出ざるを得ないと思います。一方、熊本と高雄という地方同士では、人情味を伴った暖かい相互関係が作り易いと思います。また高雄から台北までは新幹線で最速1時間半という近さであり、台北での仕事も問題なくこなせます。とはいえ、高雄は人口280万人を擁する台湾第二の都市で、アジアの多くの都市と国際線で結ばれています。「アジアと繋がる」をキーワードに積極的に動いている熊本県の蒲島郁夫知事のお役に立てるポジションにもあると思います。ここを拠点に日台の相互交流を厚くして、お世話になっている台湾の方々に恩返しをしながらビジネスチャンスを広げていきたいと思っています。

高雄市中心部の國泰世華金融大樓にある熊本電鉄台湾事務所

分刻みの多忙なスケジュールを縫うインタビューではあったが、目の前のビジネスだけでなく、どんな状況にあっても日台の相互交流の思いを貫こうとする「肥後もっこす」魂が伝わってくる甲斐所長との時間であった。