熊本を舞台にした台湾のテレビドラマ

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熊本を舞台にした台湾のテレビドラマ「フズリナの記憶」の撮影が6月21日~29日に熊本市内の夏目漱石第三旧居、水前寺公園、八代市の日奈久温泉などで行われた。

夏目漱石第三旧居で取材に対応する王監督と出演者・関係者(写真提供:TNCプロジェクト)

ストーリーは、台湾で生まれ育ち、都市開発デザイナーとして熊本との間を往き来する主人公が、親族のいざこざに巻き込まれて熊本育ちの奥さんとの気持ちが離れていく中で、アロマを研究する別の台湾人女性に惹かれていく恋愛ドラマ。台湾と熊本を舞台に、人々が様々な葛藤を繰り広げながら、それぞれの心のつながりを求めていく物語で、台湾公共テレビ(PTS公共電視)で今秋から全12話で放送される。

主人公の祖父は「台湾に尽くした日本人」の一人として、現在も台湾で高く評価されている熊本出身の植物学者・島田弥市氏がモデル。島田氏は今や熊本を代表する柑橘類となった晩白柚(ばんぺいゆ)を台湾から日本に持ち込み、映画の中にもその果実と加工品が登場する。

熊本を代表する柑橘類に育った「晩白柚(ばんぺいゆ)」(右) ~普通のミカン(左)との大きさ比較~(写真提供:JAやつしろ)

題名の「フズリナ」は化石に残る原生動物で、その場所に刻まれてきた過去の「記憶」を象徴しており、様々な記憶が映画の中に登場する。監督の王公誠氏(ワンゴンチェン)は「人と人の関わりがこの映画のテーマ」と言う。50年に及ぶ日本統治を経験するなど、歴史的な関係が深い日本と台湾。晩白柚の話を聞いて昨年7月初めて熊本を訪れた時に「懐かしい気持ちになり、ここで撮らなくてはいけないと思った」という。また「昔からの歴史の中で、深くつながっている台湾と熊本が時を越え、ドラマの制作を通じて再び繋がろうとしている。今回のドラマ制作が熊本と台湾にとって新たな友好の礎となることを祈念してやみません」と締めくくった。

なお、ドラマは台湾では今年の秋にPTS公共電視から放送が開始されるが、日本での公開は未定。