日台古典伝統芸能の融合、ついに実現へ

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高い企画・制作力を持つ日本古典芸能のアーツセンター「横浜能楽堂」。京劇・崑曲という台湾古典演劇に現代的要素を加え、作品の現代化及び文学化に挑戦してきた「国光劇団」。同二つの団体はこのほど、約3年間の制作期間を費やした日台合作公演「繡襦夢」を行う。日本と台湾にとって初めての試みだ。同公演はきたる2018年6月、日本と台湾のトップレベルの制作チームと俳優陣により、数百年の歴史を持つ二大古典芸能が境界線を越え、横浜能楽堂にて新時代の幕を開ける。

主演の温宇航・劉加后によるデモンストレーション

 

日台提携における課題を克服

 

「これまで視覚芸術、舞台芸術、音楽など様々な分野で数多くの日台提携をしてきたが、戯曲に関しては、身体の技芸や節回しなどの理解が求められるなど困難が多く、実現する事ができなかった。それでも挑戦してみたかった」(台湾文化センター・朱文清センター長)。

台湾文化センター・朱文清センター長「挑戦してみたい」

同合作公演の実現は、朱センター長が、伝統戯曲の日台提携における課題を克服すべき、3年前に横浜能楽堂の中村雅之館長に声をかけた事より始まった。中村館長は、能楽、球技芸能など日本の伝統芸能の脚本、演出など幅広く手掛ける有名プロデューサーだ。そして、中村館長協力の下、台湾で名が通る国光劇団とタッグを組む事となり、それよりは企画・創作・交流・共同制作を行ってきたという。

なお、同作品は、3段式で演出される。第一幕は台湾崑曲「繡襦記・蓮花」、第二幕は日本舞踊「汐汲」、第三幕は繡襦記と汐汲を題材とした日台の古典伝統芸能の融合。崑曲と舞踊の美学と文化の情緒を、「崑曲」と日本の「三味線」が合わさる事によって新しい世界が創作される。

横浜能楽堂のほか、豊田市能楽堂、さらに、台湾の台北台湾戯曲センター大ホールなどでの公演を予定している。

 

 

制作発表会に日台関係者ら集結

 

同合作公演に先立ち、作品制作発表イベントが8月31日、台湾文化センターで行われた。朱センター長、中村館長、国光劇団の張育華団長、崑曲俳優の温宇航・劉加后、三味線奏者の常磐津文字兵衛氏らが出席した。

同イベントでは、横浜能楽堂と国光劇団の業務提携の調印式行われたほか、温宇航・劉加后による同作品のデモンストレーション、関係者らによる対話が行われた。

業務提携調印式左から台湾文化センター朱文清センター長、国立伝統芸術センター国光劇団呉栄順主任、横浜能楽堂の中村雅之監督、台北駐日経済文化代表処の郭仲煕副代表

中村館長は、「異国古典芸能で共同制作を行う場合、各芸能の高いレベル同士でやらないと、ただやっただけに終わってしまう」と話したほか、同共同制作を通じ、日本舞踊や芸能を身に付ける事で、逆に崑曲の何か新しい発見に繋がるのではないかと考えたという。

異分野対話の様子

演出を担当した王嘉明氏は、古典芸能を同じ舞台に立たせるのは、互いがぶつかり合い、一瞬で壊滅に走るのではないか、と始めは心配していた事を明かした。また、共同制作や異文化交流の上で、要素と要素の間でぶつかり合いながら、問題解決する作業も行っていきたと話した。

一方音楽制作にも関わった常磐津氏は、数字譜(音符を数字で表す楽譜)の認識の部分で苦労したという。日本の三味線と台湾の笛で合わせても、キー(調)が合わなかったと話し、日本は「1=ド」としているが、必ずそうだとは限らない事を発見したそうだ。ある数字譜の法則を見つけてよりキーを合わせる事に成功したと話した。

三味線奏者常磐津文字兵衛氏(右)は数字譜について実践しながら教えてくれた

同作品のストーリーは、「過去の恋に縛られ成仏できずにいる亡者が、形見で想う人をなお、偲ぶ」というもの。主人公の老人が死ぬ直前、夢のなかで過去に愛した女性と対話をする。外見のみの合作だけではなく、心深くまで表現していくとしている。

朱センター長は、「このような正式な形になって、しかも自分が想像していた以上に良い方向に行き、本当に嬉しい」と喜びを語った。

 

(2017/9/1)

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