台湾8族原住民、独自の手芸品をギフトショーで初展示

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台湾には現在16族の原住民が住んでいる。そして近年では、原住民族委員会により、原住民の伝統的文化を推進する働きがある。「原住民の文化や生活を日本人にもっと知ってほしい。原住民の作った手芸品を日本人に受け入れてほしい」(原住民族委員会経済発展処陳専門委員)。

台湾原住民が一堂に会し展示を行った

その目下、日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「第84回東京インターナショナルギフトショー秋2017」(会期:2017年9月6日~8日)が東京ビックサイトで開催され、「Ayoi(阿優依)~看見太陽(太陽を見る)~」と題した台湾原住民クリエイティブ館が設けられた。同館では、ブヌン族やタロコ族、ツォウ族など8族全15社が、独自の伝統手芸品を展示し、原住民文化を伝えた。なお、同委員会が台湾原住民の手芸品ブランドを一堂に会し、日本で出展を行うのは初めてである。

台湾原住民クリエイティブ館では8族の原住民ブランドを伝えた

スポーツメーカーとアミ族の伝統デザインをコラボレーションしたスポーツ用品や、タイヤル族伝統の“からむし”の糸を使用し、太陽の模様を織り込む製品など、それぞれが持つスタイルを展示する事で、原住民文化のアピール場となった。原住民によって、色の使い方、デザインなどが異なるほか、守り神とされる動物も相違するため、同館では多種多様な原住民文化に触れる事ができる。

スポーツのメーカーとアミ族のデザインがコラボレーションしたスポーツ用品を展示

 

また、伝統手芸品の製造過程を知ってもらうため、各原住民の職人たちが同館内で実際に製造も行っており、伝統手芸品におけるそれぞれ違った製造過程を間近で見る事で、より一層原住民の生活や文化の見識を深められる。

ツゥオ族は縁起物としているイノシシの彫刻品を製造

なお、陳専門委員によると、同館タイトルである“阿優依”はタオ語で歓迎や感謝を表すあいさつであり、原住民クリエイティブ館創設の指針であるという。そして“看見太陽”は、それぞれの原住民が常に太陽みたいに明るく元気である事から、同館に来れば来場者が「太陽を見る事ができる」との意味が込められているとしている。 

 

デザイン&エコ重視の台湾企業も一挙集結

 

一方、台湾貿易センター(以下:TAITRA)管轄の台湾パビリオンでは、デザインを強みとし、エコへの概念が強い企業など29社が集結した。

台湾パビリオン、今年はバルーンを使用し台湾をアピール
綺麗なガラス製品の展示もされていた

TAITRA東京事務所の呉俊澤所長は、「今年の展示品は日本のニーズに合うような小物が多く、中小企業への対応も柔軟である」と話し、羽佑有限公司に注目した。創立29年の同社では品質の良い化粧ポーチやカバンなどを製造している。自社販売は行っておらず、ANASUIやNOEVIRなど大手化粧品会社や雑誌社から依頼を受けて製造するのみだ。「台湾は市場が小さい」との理由から、これまでアメリカブランドと協力し、販売を行ってきたが、日本においては10年前より大手貿易会社を通し、すでに流通している。同社の張麗淳社長は今後の展開として、販売代理店を見つける事が日本市場拡大への近道だとし、2020年のオリンピックまでにアイデアを生み出し、日本のお店で販売を行っていきたいと話した。

羽佑有限公司は良質の化粧ポーチやカバンの製造を行っている

また、竹を使用した工芸品を販売している「VIREO LIFE」は、9つのお茶を飲むためのおちょこと、9つに仕切られたプレートをセットにした商品を発明し、2013年に台湾デザイン賞を受賞している。この商品はただお茶を飲んで楽しむだけではない。おちょこをひっくり返すと後ろには“〇”と“×”が記載されており、そのおちょこを、9つの仕切りプレートに乗せれば、幼少期に遊んだ“三目並べ”のゲームができるという。家族皆でお茶を飲みながらゲームをする事で、「暖かい家庭を作ってほしい」との思いも込められている。

2013年に台湾デザイン賞受賞したVIREO LIFEのおちょこセット

なお、この商品を生み出すヒントとなったのは、日本のホテルで朝食ビュッフェを食べた時だったという。同社デザイナーの丁崇恩氏は、食材を乗せる9つに仕切られたプレートを目にし、その2時間後には同商品を生み出したそうだ。また丁氏は、日本は木製品の文化が強い事に対し、「互いに良い部分を吸収し、今後は相乗効果で良い製品を生み出していきたい」と話した。

 

弘光科技大学の医学部と協力開発を行っている「無染工房」はエコを重視し、昨年から高山や田んぼの土で染めた枕カバーなどの製造している。土染めした後、高温殺菌をする事で、紫外線予防の効果もあり、快適な睡眠が取れるという。今後医学部との協力でも新しい商品開発をしていきたいとしている。

土染めシーツを開発、紫外線予防に良いとされている

(2017/9/6)