ドキュメンタリー映画「心の故郷(ふるさと)〜ある湾生の歩んできた道〜」特別試写会が開催

0
左から武石道男さん、林雅行監督、竹中信子さん

 

クリエイティブ21の林雅行監督による第5作目ドキュメンタリー映画「心の故郷(ふるさと)〜ある湾生の歩んできた道〜」が5月、日本で公開する。これに先立った3月31日、台湾文化センターで特別試写会が行われ、本編に登場する湾生の竹中信子さん、武石道男さんのほか、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表も出席した。会場は同映画を心待ちにした来場者で満員。中には自身や親戚が湾生だという人もおり、上演後は来場者同士で当時の台湾の話しをするなど、懐かしむ様子も見受けられた。

会場は満席

同映画は、日本統治時代の台湾で生まれ育った日本人=「湾生」に焦点を当てたドキュメンタリー。台湾北東部の街・蘇澳で生まれた竹中さんと武石道男さんの人生を中心に、台湾を「心の故郷」とする湾生たちが戦前と戦後をどのような思いでどのように生きてきたのか、そして今、台湾に対してどのような思いを抱いているのかを描き出している。湾生によって語られる当時の台湾でのちょっとした想い出話や、生活の様子などは、教科書では教えてくれない日台交流の足跡をも感じる事が出来る作品となっている。

湾生の竹中さんは上演後、「台湾がとても懐かしい。台湾の事が本当に大好きです。このような気持ちをずっと持たせてくれたのは台湾の人たちの暖かい民族性だと思います。台湾、ありがとうございます、といつも思っています」と話したほか、武石さんは、「14年間過ごした台湾は私の忘れ難い想い出が詰まっています。そして今、台湾は世界一の親日国であります。湾生としてこれほど嬉しい事はありません」と台湾への熱い想いを語っていた。

林監督自身、湾生の2人のように、戦前を生きた親の世代の話をどのように伝えていくのかをモットーに映画を製作しているという。また、現在、同映画の中国語翻訳版も製作中で、台湾での上映も決定しているほか、同時に続編も製作中だ。

林雅行監督

なお、同映画のナレーターは、台中生まれの湾生の川平朝清(琉球放送初代アナウンサー)が務め、テーマ音楽は台湾系華僑3世のハーピスト・彩愛玲さんが担当。製作関係者らの思いも詰まった同映画は5月19日より渋谷ユーロスペースにて公開予定だ。

謝代表との面会の様子。左から林雅行監督、台北駐日経済文化代表処・謝長廷代表、武石道男さん、竹中信子さん