「土木とアニメの邂逅 虫プロダクション・伊藤叡さんを偲んで」が開催

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土木学会土木広報センターは2018年6月6日、土木学会講堂で土木学会映画コンクールにて最優秀賞を受賞した「パッテンライ!!南の島の水ものがたり」の上映会と、今年1月末に急逝された虫プロダクションの故・伊藤叡さんを偲んだトークショーが行われた。共催は土木史研究委員会広報小委員会。

亡くなられた故・伊藤さんは1977年虫プロダクション社長に就任し、プロデューサー、製作者として様々なアニメーション作品を手がけたが、その数ある作品の代表作ともいえるのがアニメーション「パッテンライ!!」だ。これは、旧文部省が支援して、八田與一氏の故郷である石川県金沢市に本社のある北國新聞社が創刊115周年を記念し出資して完成した作品。製作は虫プロダクションの伊藤叡さんが行なった。

同アニメは、日本統治時代の台湾における土木技師として活躍した八田與一氏の生き様、そしてその業績と台湾地元民の交流を交えながら描いたもの。ちなみに「パッテンライ(八田來)」は台湾語であって「八田がやって来た!!」の意に当たり、当初、八田に敵意を抱いた台湾人が、後に彼を尊敬し喜び招きくようになっていった様を表そうとした逸話から命名されたという。

当日、上演会前には、土木広報センター長の依田照彦氏から、作品に関するエピソードを披露されたほか、五島章太郎氏によるフルート演奏が行なわれ、「望春風」「雨夜花」「赤とんぼ」などを演奏した。なお、ゲストとして同アニメの八田與一氏の妻の声を担当したの一青妙さんや、八田與一氏の孫にあたる八田修一氏、そして「巨人の星」、「うる星やつら 完結篇」(1988年)など劇場アニメ映画のプロデューサー・監督として知られる出崎哲氏、伊藤叡氏と組んだ作品で土木学会映画コンクール最優秀賞受賞した泉悦子さん、同アニメ中の徐英哲少年のモデルである徐欣忠さんの娘さん・徐玲媛さんらも出席した。

同アニメの八田與一氏の妻の声を担当したの一青妙さん

上映会の後は、「父・八田晃夫の思い出、祖父・八田與一のことなど」として八田修一氏が貴重な話を披露したほか、ゲストによるパネルディスカッションとして「人と自然の関わりにこだわったアニメーション映画のことなど」も行われた。最後には、土木史研究委員会広報小委員会副委員長の鈴木圭氏がハーモニカ演奏をした。

パネルディスカッションの様子
会場の様子