シンポジウム「台湾有事と日本の対応」が開催

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一般社団法人日米台関係研究所(会長=渡辺利夫氏「拓殖大学、学事顧問」)は12月2日、アルカディア市ヶ谷私学会館で初の対外公演となるシンポジウム「台湾有事と日本の対応」を開催した。同研究所は今年四月に、日米台の三者が安全保障上の関係強化を進める事への重要性を訴える事を目的に、中国の外洋への覇権的進出の危機に警鐘を鳴らす各種の活動を主として発足された。具体的には、政策提言の発表、研究並びに政策提言に関する講演会やシンポジウム等の開催、そして各種情報の提供など行う事を柱とする。これにより、アジア太平洋の平和と安定目指すとしている。

初のシンポジウムでは、各方面の識者が講演した。冒頭の渡辺会長の挨拶から始まり、衆議院議員長島昭久(元防衛副大臣)、参議院議員中西哲が来賓挨拶した。

シンポジウムのパネリストは許世楷(元台北駐日経済文化代表処代表)、金田秀昭(元海上自衛隊護衛艦司令官)、浅野和生(平成国際大学教授)で、ウォレス・C・グレンソン(米国元国防次官補)とジェームス・E・アワー(ヴァンダービルド大学名誉教授)がコメントした。

許世楷氏は、台湾有事に最も影響を受けるのは日本とし、影響を与えるのは米国である、と持論を展開した。台湾の現行の憲法は1946年の制定で翌47年より実施されている「中華民国憲法」である。しかし、「この法は実際には虚構です。中華民国、中国、台湾。世界的に見て世論は混乱している」と外側から見た台湾の実情を説明。その上で「敵味方を改めて認識するべき」と強調する。「現在、日本と台湾の関係は良好です」とし、今後、台湾の独立に向けた動きは日本にとっても国益につながる重要な案件でもある。それには米国の力は不可欠で、「日本の持つ影響力を米国向けに発揮してほしい」と切望した。

右から 元台北駐日経済文化代表処代表許世楷氏、元海上自衛隊護衛艦司令官中西哲氏

一方、来賓の長島代議士は挨拶で「今般の台湾の選挙結果は残念です」とし、これからの民進党の立て直しに懸念を表した。しかし、先の米国ペンス副大統領によるメッセージにより、日中間でも安倍総理と習国家主席の「競争から協調へ」で合意した事は「台湾にとっても良い事」とした。

さらに林建良氏は「日台交流基本法の制定」を強調した。「戦後70有余年台湾は日本の背中を見てきた」としながら、「日本は台湾の存在を認めてはいない」と持論を展開。日台間はこれまで、複雑な政治的要素を含んだ経緯があるとする一方で、これからは「日本人そして日本政府も台湾の存在を認めてほしい」とし、「台湾は世代を超えた親日家ばかり」と、ことさら強調してこのシンポジウムの重要性を訴求した。

また、金田秀昭さんは台湾有事に関し、2019年5月に日本で開催予定の「日米台シンポジウム」の重要性を表した。内容はクローズとオープン(政治・経済・協力体制)セッションに分けて開く模様。さらに、所属する岡崎研究所の主たるテーマが「台湾」で、さらに「台湾有事の防衛強化の推進」を標榜としているため、まさに今回のシンポジウムは「必要不可欠である」とした。

平成国際大学教授淺野和生氏