人気の台北路線に名古屋・北九州便を開設した「エアマン」

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国内線で培った「手ごろな運賃で上質な機内空間」を売りにするスターフライヤー(北九州市、松石禎己社長)が昨年の10月から台北と名古屋、北九州に定期便を運航し、人気が高まっている。

台湾の旅行社の調査によると台湾人の「行きたい国」の一位は日本。日本人の行きたい先も2018年夏休みの旅行ランキングでハワイを抜いて台湾が一位(日本旅行業協会-JATA)になるなど、日台間の人的往来は2016年607万人、2017年646万人に達している。

増える日台間の人的往来

そのため、航空各社の日台線の搭乗率は軒並み9割に近く、利用者からは希望する日程のチケットが取りづらいという声も上がっている。ここに着目したスターフライヤーが台北(桃園)と北九州、名古屋(中部)を結ぶ2つの定期便を昨年の10月28日から就航させた。

スターフライヤーは2012年7月に北九州〜釜山線に最初の国際定期便を開設したが、2014年3月に撤退したため、今回の台北線は4年半ぶりの国際線復活となる。

北九州空港での就航セレモニー

同社の松石禎己社長は長崎県佐世保市の高校から九州大学工学部に進学。昭和50年(1975年)に航空工学科を卒業して全日空に入社。整備部門を振り出しに営業やオペレーション本部などを歴任した根っからの「エアマン」だけに、九州を舞台に国際線を運航することに強い情熱を持ってきた。

その松石氏が平成26年(2014年)6月に北九州市に本社を置くスターフライヤーの社長に就任して2年近く練りに練って投じた一石が、政情が安定し、対日感情が良い上にインバウンド・アウトバウンドともに伸び盛りの台湾線だという。

「台湾線は国際線の教科書みたいなもの」という松石氏は「まず台北便を成功させて次へ進みたい。台湾の次は活力を秘める東南アジアへ。さらに世界へ」と夢を膨らませる。

ミニチュアを手に夢を語る松石社長

「名古屋便は、すでに搭乗率も7割に近づき安定軌道に乗っているが、北九州便は、圧倒的に交通利便が良くマーケットも大きい福岡空港との競争があって必ずしも平坦な道ではない。しかし福岡~台北線はチケットが取りづらく、お客様に日程調節をお願いしなければならないことが多いとも聞いている。福岡市内中心部から北九州空港までは高速道路経由で僅か一時間余り。安定した運航を積み重ね、認知度を上げていけば、必ず北九州便を利用して頂けると確信している。辛抱する時間は必要だが、それまで努力を続け、国内線で培ったサービス水準を維持していけば、搭乗率8割も見えてくるはずだ。我々が努力すれば北九州・山口・大分を盛り上げることも出来るし、地元が潤えば我々もリターンが期待できる。おかげで平成30年3月期決算(単体)の売上高は380億円と過去最高を達成した。台北線就航を契機に経営基盤を一層強くして、飛躍の礎を築きたい」と述べる松石社長からはエアマンの面目躍如たる情熱が伝わってくるようだった。