台日関係の未来に向けて — 展望台日關係

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「台日関係の未来に向けて」
台北駐日経済文化代表処 代表 沈斯淳(2012年9月9日、産経新聞寄稿)

 私は今年5月に台湾の駐日代表として着任以来、これまでに築かれてきた良好な台日関係の基礎の上に、新たな局面を切り開いていきたいとの思いを強くしている。故宮博物院の文物の日本での展覧会開催や宝塚歌劇団の台湾公演などの文化交流をはじめ、台日間の経済関係もさらに強化したい。
 
 台湾と日本は同じアジアの隣人であり、民主主義、自由、人権などの価値観を共有し、歴史的にも縁が深い。1972年以来、双方は政府レベルの国交がないにもかかわらず、経済、貿易、文化、観光などの分野できわめて良好な関係を築いている。
 
 日本は台湾にとって第2の貿易パートナーである。昨年の台日間の貿易総額は700億㌦を超えて過去最高となり、日本の対台湾投資件数も441件とこれまでの最高を更新した。また、昨年9月には台日投資協定が、同年11月にはオープンスカイ協定がそれぞれ締結された。
 
 今年に入り鹿児島、静岡、富山などと台北の間に新たな航空路線が開かれ、双方の人々の往来はますます盛んになっている。今年上半期に台湾から日本を訪れた旅行者数は約73万人。日本から台湾への旅行者数は71万人で、双方の往来者数は昨年の年間約250万人を大きく上回る勢いである。
 
 最近、東シナ海では、釣魚台列島(編注=沖縄県尖閣諸島に対する台湾での呼称)の領有権をめぐって緊張が高まっている。台湾は釣魚台列島が台湾漁民の伝統的漁場であり、台湾・宜蘭県に属すると主張しているが、馬英九総統は、この問題で中国大陸と連携せず、台日関係の悪化を望まないことを明確に表明し、また、一方の当事者だけに自制を求めるのではなく、皆が平和的に争いを解決する方法を探ることが重要だと強調している。
 
 馬総統は今年8月5日、釣魚台列島を含む東シナ海地域の持続的平和と安定、経済の発展と繁栄、海洋生態系の永続的な保護、関係国の共存共栄を促進するため、「東シナ海平和イニシアチブ」を提起した。
 
 その具体的な内容は、①対立行動をエスカレートしないよう自制する②争議を棚上げにし、対話を絶やさない③国際法を順守し、平和的手段で争議を処理する④コンセンサスを求め、「東シナ海行動基準」を定める⑤東シナ海の資源を共同開発するためのメカニズムを構築する—の5点からなる。同地域の安定を維持するために日本もわれわれとともに行動するよう呼びかけたい。
 
 台日関係は、どこよりも「特別なパートナー関係」にあり、第17回漁業会談の早期開催、台日企業提携の拡大など、多方面にわたる交流を地道に積み上げていくことが、今後の相互信頼の確立、ならびに安定的で、親しい関係の構築につながるものを確信している。
 
—以下、中文—

展望台日關係
台北駐日經濟文化代表處代表 沈斯淳

 本人於今年5月接任台灣駐日代表一職後,強烈盼望能在迄今建立的良好台日關係基礎上開拓新局面,透過故宮文物日本展、寶塚歌劇團台灣公演等,開創新的文化交流,並致力強化台日經濟關係。
 
 台灣與日本是亞洲緊鄰,分享民主、自由、人權等價值,歷史淵源深厚,1972年以來,雙方雖無邦交,卻在經濟、貿易、文化、觀光等領域建立極為良好之關係。
 
 日本是台灣第二貿易夥伴,去年台日間貿易總額超過700億美元,達到歷史新高,日本對台投資件數亦為史上新高之441件,而台日更於去年9月與11月分別簽署台日投資協議、開放天空換文。
 
 今年台日間開闢鹿兒島、靜岡、富山等與台灣之新航線,雙方人員往來日盛,今年上半年台灣訪日的旅客約73萬人,日本訪台旅客約71萬人,雙方旅客人數極可能大幅超越去年的250萬人。
 
 釣魚台列嶼是台灣漁民傳統漁場,隸屬台灣之宜蘭縣,最近有關東海釣魚台列嶼主權之緊張情勢升高。馬英九總統曾明確表示,台灣在此問題上不會與中國大陸聯手,盼台日關係不要惡化,馬總統並強調,不應要求單一當事人自制,重要的是尋求和平解決爭議之方法。
 
 為促進包含釣魚台在內之東海持續和平與穩定、經濟發展與繁榮、海洋生態之永續保護、促進相關國家之共存共榮,本年8月5日馬總統提出「東海和平倡議」,呼籲各方應自我克制不升高對立、應擱置爭議不放棄對話溝通、應遵守國際法以和平方式處理爭端、應尋求共識制定「東海行動準則」、應建立機制合作開發東海資源。
 
 台日關係為「特別夥伴關伴」,本人相信早日開始第17次台日漁業會談、擴大台日企業合作、穩健累積各層面之交流,將有助雙方建立互信、穩定及親近之關係。