李登輝元総統、母校・台大で講演「私の人生哲学」

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~若者に自身の哲学を伝授~

 李登輝元総統は10月5日、母校でもあり、かつて教鞭をとった台湾大学農学部の大講堂で「私の人生哲学」と題する講演を行った。当日は、300人以上の学生が集まり、即満席という盛況ぶりで通路にまで学生が溢れでるほどだった。講演は、地方視察の感想から「大陸反攻に固執した中央集権化の影響で地方経済が疲幣している」と台湾の経済の先行きを憂いながらも「地方にはまだまだ埋もれた人材がいる」と地方の人々のひたむきな姿について語った。
 昨年11月に大腸がんの開腹手術を行った李元総統だが、経過は順調で今年4月より高雄および屏東を皮切りに台湾全国を視察する「生命之旅」を始めている。5度にわたって行われた「生命之旅」では晴れ男の李元総統には珍しく、雲林や彰化では台風に見舞われた。しかし、9月上旬の南投・台中を巡る視察では、熱心に人々の声に耳を傾けていた。「生命之旅」はまだ台湾東部が残されているが、年内は南投・台中で一旦終了とし、年末までは積極的に台湾中の大学をまわり、学生たちに講演を行う予定。李元総統は、かねてより特に学生や若者と話すことが出来るのを何よりも喜んでおり、台湾の将来を担う学生たちに対し、自身の哲学を伝える事で何かしらの糧として欲しいと願っているという。講演で「私は今90歳、皆さんは20歳くらい。しかし、私が20歳から経験した70年間とこれから皆さんが経験する70年間は全く違う。変化は地球規模で起きている。そのことを念頭に置いて対処していかなくてはなりませんよ」。講演でそう締めくくった李総統の講演時間は90分。その後の質疑応答も入れると2時間以上立ちっぱなしだったが、疲れた様子もなく溌剌した様子だった。
 李元総統は、来年5月に神奈川県座間市で開催される「留日70周年記念歓迎大会」に出席を要請され、快諾済み。来日が実現すれば2009年以来4年目の訪日となり、動向が注目されている。