食の宝庫と言われる台南で異彩を放つのが夜市である。夜市は台湾各地にあるが、台南の花園、大東夜市は一際規模が大きい。300軒以上の屋台が軒を連ねていて台南地元の人々のみならず、国内外観光客の受け皿となっている。そして、この2つの夜市、大きな特徴がある。それは「空き地」に設営されることだ。台北など多くの都市の夜市は、夕方以降「道路(路)」に設営されるが、台南では普段、主に駐車場として利用されている「空き地(スペース)」で開催される。夜市は営業日が決まっており、台南市民は主要夜市の開催曜日を記憶している。
大東夜市は、月、火、金。花園夜市は、木、土、日の開催。夕方4時過ぎから徐々に設営が始まり、6時を過ぎる頃には、溢れんばかりの人だかりができている。主に飲食と衣服の二つのエリアに分かれていて、週末の飲食エリアは、人が歩けないほどに混雑する。料理(小吃)で一番多いのは揚げ物だ。鳥の唐揚げやエリンギのフライ、臭豆腐など、中華鍋を使って豪快に揚げていく光景が見られる。
台南のメッカでもある夜市。営業の曜日(週に3回など)が決まっているが、それ以外の曜日、屋台は休んでいるのだろうか?どこに消えてしまうのだろうか?花園夜市の人気イカフライ店の店主に話を聞くと、様相は簡単明瞭だった。「昨日は大東、今日は花園、明日も花園ですよ」。月、火、金に大東に出ている屋台は、その多くが、木、土、日には花園夜市に出ているというわけだ。人気屋台は固定ではなく、各所の夜市を移動する。その他、台湾には毎週木、土開催の武聖、火、金の成功などもあり、それぞれの流動式夜市が、台南市を盛り上げている。
台南を訪れる観光客は、各夜市の開催曜日を把握しておくと良い。台湾の美食通になると「この屋台は何曜日に何何夜市の何処の位置で営業している」というところまで把握しているのだ。