【特集】台湾南部最大級の廟、南鯤鯓代天府

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南鯤鯓代天府
南鯤鯓代天府

 台南市北門区には、台湾で最大規模の廟、南鯤鯓代天府がある。明朝の永暦16年(1662年)に建設され、最古の男性守護神が奉られている。広大な駐車場には観光バスが何台も停められ、国内外から多くの人が押し寄せる。大きな門をくぐると賑やかな音色が聞こえてくる。
 
 南鯤鯓代天府の圧巻は旧暦4月26、27日に行われている李王爺、范王爺の生誕の祭り「王爺祭」だ。台湾全土に分祀されている王爺が、南鯤鯓王の生誕を祝すとともに、自らの神通力を強めるために集まってくる。それに合わせ信者や参拝者、さらには祈祷師も多く訪れ、雰囲気は、台湾全土の祈祷師の総会といった様相である。台湾南部最大の祭りとも言われており、盛大な祭りが10日間続く。
南鯤鯓代天府には国内外から多くの人が押し寄せる
南鯤鯓代天府には国内外から多くの人が押し寄せる

 建築物はどれも古めかしい。躍動感のある風合いで目を引く正殿の外壁や屋根の装飾は、数が多いにも関わらず、完全な状態で保存されている。大鯤園や招待客用の槺榔山荘も、伝統的な閩南式建築を模しており、風情溢れる雰囲気を醸し出している。この廟は国家二級古蹟に指定。李王、池王、呉王、朱王、范王など五府千歳が奉られている。 三百年余り前、王船に乗って台湾に上陸し、六万坪の廟堂、前埕、主殿、花園などを建設したと言い伝えられる。
南鯤鯓代天府界隈の名物、焼酒螺
南鯤鯓代天府界隈の名物、焼酒螺

 南鯤鯓代天府界隈の名物と言えば、焼酒螺だ。蒸留酒や米酒にに漬け込んだ巻貝で、台湾ではポピュラーな酒のつまみである。唐辛子やにんにくで味付けされているだけにピリリと辛い。食感はイカの塩辛にも似ており、台湾の屋台で見かけることもある。
道教の儀式、開光
道教の儀式、開光

 南鯤鯓代天府には、年に4回程度、祈祷師や演劇団が集う。その中で道教の儀式でもある「開光」も目にする。鶏の鶏冠を切って血を採取するシーン等は見るだけで、日本で見る寺、神社とは違う空気を感じ取れるだろう。台湾最大級の廟、南鯤鯓代天府を訪れる観光客は、毎年のべ400万人以上とされる。