埼玉県川口市立川口高校木田一彦校長インタビュー

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木田一彦校長
木田一彦校長
川口市立川口高校
川口市立川口高校

埼玉県立高校の海外修学旅行の道を拓き、現在は国際交流事業に入力

埼玉県の県立高校で、平成22年1月、初めて海外修学旅行(台湾)を実現し、台湾政府より「2012ツーリズムフェスティバルアワード 台湾観光貢献賞」を贈られた現・川口市立高校木田一彦校長(受賞当時:埼玉県立志木高校教頭)に話を聞いた。
平成25年5月14日には、台湾桃園縣南崁高級中学の生徒37人、校長先生ほか先生方と添乗員の合計4人、全合計41人が市立川口高校を訪問、盛大に国際交流を行い、その模様が新聞などマスコミに大きく取り上げられた。

台湾観光貢献賞受賞
台湾観光貢献賞受賞
平成25年5月14日には、台湾桃園縣南崁高級中学の生徒37人、校長先生ほか先生方と添乗員の合計4人、全合計41人が市立川口高校を訪問
平成25年5月14日には、台湾桃園縣南崁高級中学の生徒37人、校長先生ほか先生方と添乗員の合計4人、全合計41人が市立川口高校を訪問

Q海外修学旅行を埼玉県の公立高校で平成21年度に初めて実現したが
A当時は埼玉県立志木高校にいました。実は平成19年度には県の教育委員会から海外への修学旅行を試行してもよいという許可が出ていましたが、どこの学校も誰も手を挙げませんでした。そんな折りに、平成20年度の(新入生たちの)学年主任や担任から「海外に行きたい」という声が上がってきました。教頭でしたから、いよいよ来たかと。校長からはダメな場合も考えて国内、海外の二本立てで準備するよう指示が出ました。
Q台湾に白羽の矢が立った背景は
A当時の規定では、許される料金は国内旅行と同じく上限が81000円でした。この範囲で探すとなるとアメリカやイギリスは無理。韓国、中国、グアム、サイパン、シンガポール、そして台湾が候補として浮かびましたが、費用が安い時期は10月から翌年1月。この時期は韓国、中国は寒い。費用や親日という条件、安全性などを考慮すると台湾しかないなと。
Q許可を得るために工夫したことは
A海外での修学旅行が実現すると県立志木高校が一番最初ということになります。どうしたら許可が取れるか考えまして、まずは学校交流がなければダメだろうと。物見遊山の観光では許可は出ないと思いました。
Qもっとも難しい課題は
Aやはり81000円のカベ。私立高校ではすでに実現していましたので聞いてみますと24万円ほどだと。また、海外旅行はどうしても初日と最終日は移動日となりますから、2泊3日とはいきません。3泊4日は欲しい。となると台湾しかない。しかし、燃油サーチャージ料金が17000円と高い。そうなるとバスは最終日以外は1回しか使えず、地下鉄やMRTを使うしかない。そこで台湾観光協会様にご協力をお願いしましたところ、「ホテルから学校までのバスはなんとかしましょう」との朗報をいただき、何とか実現の目途が立ちました。結局、燃油サーチャージ料金も下がって、バスも一部を除き、全行程利用できるようになりました。
Q海外修学旅行を初めて実現した感想は
A難問・珍問を一つひとつ、つぶしていったという印象です。まず、平成21年の夏場にかけて新型インフルエンザが流行しました。こちらの実施時期が平成22年の1月ということでなんとかなりました。次に某国がテポドンなるミサイル実験を行うという問題が起きます。これもなんとか凌いで、いよいよ行けるかなと思ったら、年末に生徒の祖母が大掃除の際にパスポートをゴミと一緒に出しちゃったという出来事が起きます。出発まで2週間ありましたからなんとか再発行できました。
最後は、先発隊の帰りの飛行機がメンテナンスの関係で到着時間が約2時間遅れるということになり、到着が午後10時近くとなり、終電ぎりぎりになるということで、私と事務長で3クラスの保護者全員と関係者に電話連絡しました。お陰様で一軒も苦情はありませんでしたね。
Q台湾観光貢献賞受賞について
A平成23年12月28日、仕事納めの日に台湾交通部観光局から平成24年2月3日に台湾観光貢献賞の受賞式があるからぜひ出席して欲しいという連絡がありました。受賞者は10の国と地域、141の団体・個人に上りましたが、旅行会社や航空会社などが多い中、県立高校初ということで、学校関係はうちだけということになった次第です。以降、平成24年度は、本校(市立川口高校)をはじめとして、県立朝霞高校、県立志木高校、県立浦和商業高校、県立川口工業高校と5校が海外修学旅行(台湾)に行きました。この台湾観光貢献賞については、今になってその責任と重みをずしりと感じているところです。